イギリス人にとってパブはなくてはならない存在です。
私の住んでいたイングランド北部の田舎では、スーパーも郵便局も駅も何もなかったけれど、パブだけは1軒ありました。
どんな小さな町にも、たいていパブと教会はあります。
大きな町になると、煉瓦造りの歴史あるパブ、料理も楽しめるガストロパブ、サッカーファンの集まるスポーツバーなど、素敵なパブがたくさんあります。
でも、正直ちょっと入りにくいですよね・・・
地元の人ばかりみたいで、なんかこわい。
どうやって注文したらいいのかも、よく分からないし・・・
まず、ビールの種類がすごく多いんですよね。
エールビールなど、日本では馴染みのないビールもたくさんありますし。
対面式のカウンターで注文しなければいけないのも、けっこうハードルが高いです。
今回は、初めての人にも分かりやすいように、パブでの注文方法について丁寧に解説していきます。
目次
イギリスのパブって、どんなところ?
基本的には、お酒を飲みながら楽しくおしゃべりをする「社交の場」です。
おつまみはポテトチップス程度しか置いていない場合もありますが、中には「ガストロパブ」といって、きちんとした食べ物を出す店もあります。
パブは内装にこだわりがあり、もと銀行や古い商家などを改装していたりして、建物自体がすてきなお店が多いです。
また、長い歴史のある町には古いパブも残っていて、「歴史的な事件があった」「過去の偉人が常連だった」「お化けが出る」などなどエピソードも豊富です。
かつてのパブには階級別に、入り口や部屋を分けられていることがありました。
古い建物は、今でも入り組んだ造りになっていることがあって面白いです。古い時代の名残りで、昔の上客向けの部屋には、重厚な家具や暖炉があったりします。
注文や支払いのしかたは、店のスタイルによって違う
飲みものの提供をメインにしているパブでは、注文方法はだいたい「スタバと同じ」と考えてもらえば大丈夫です。
ただし、食事をメインにするガストロパブでは、ちょっと違うことがあります。
・飲みものだけを頼む場合
1. カウンターに行き、注文し、ドリンクを受け取り、支払いをする。チップは不要
2. 自分で席を選び、ドリンクを運ぶ
※混雑する店なら、席を先に取っておく。貴重品などは置いておかないように注意
3. 帰るとき、空いたグラスはテーブルに置いたままでよい
飲み物だけを注文するときには、食事エリアには座れないので注意してください。たいてい、メニューが置いてある席が食事エリアです。
・食べものと飲みものを頼む場合
1. 店の入り口で待ち、従業員に案内された席に座る
混雑している店では、自分たちで席取りをして、オーダーをカウンターに言いに行くこともある
2. 従業員がテーブルまでオーダーを取りに来るのを待つ
来ないようなら、自分でカウンターに行き注文する。グループ利用の場合は、代表者が1人で行くのが一般的。テーブルに番号が振ってあればそれを申告し、もし番号がなければ指さしするなどで、どこに座っているか伝える。注文後に番号札などをもらえるので、テーブルに置いておく
3. 注文した料理は、テーブルに持ってきてもらえる
飲み物のおかわりは、直接カウンターに注文しにいくのが一般的
4. 支払いは注文時にすませるか、食後にテーブルで支払う
サービス料が含まれていなければ、チップも払う(食事代の10〜15%)。学生はチップを払わなくても可。持ってきてもらった勘定書の上に食事代を置いたら、そのまま店を出てよい
カウンターで飲みものを注文し、受け取るまでの流れ
イギリスのパブでは、カウンターで「注文、支払い、飲みものの受け取り」まで行うキャッシュオン方式が主流です。
1. まずは、カウンター前に並ぶ
混雑時のカウンター前はカオスになっていることもありますが、実は並んでいるのかもしれません。まわりの人に声をかけ、最後尾をさがしましょう。
2. 自分の番が来たら、「飲みものの種類」と「サイズ」を伝える
最初のうちは、とりあえず気になるタップを「指差し注文」でいいと思います。飲みものの種類については、あとでくわしく説明します。
一般的なサイズは、1パイント(約568cc・日本の中ジョッキよりやや多い)とハーフパイント(約284cc・日本の小ジョッキくらい)の2種類。
サイズを言わないと、自動的に1パイントのビールが出てきます。
3. 飲みものを受け取ったら、支払う
カウンターの後ろにポテトチップスやピーナッツがあったりするので、欲しければこのタイミングで買います。
支払いはカードが主流になってきています。コンタクトレスのカードがあると便利です
ビールの種類をざっくり理解しよう
イギリスのパブで飲めるビールはラガー、エール、スタウトに分けられます。それぞれ、醸造方法が違います。
ちなみに、イギリス産のビールはエールとスタウトが中心で、ラガービールはほとんどが輸入ものです。
・ラガー
イギリスで最も一般的なビールはラガーです。
日本でもお馴染みのラガービールですね。日本のビールは、ラガーの中でも「ピルスナー」という種類に分類されます。
ほとんどのビールが常温で提供されるイギリスですが、ラガービールだけは冷やしてサーブされることが多いです。
・エール
多くのエールビールはフルーツやスパイスで風味付けされていて、独特の味わいがあります。香りや苦みもしっかりしているため、ビールの味や香りを堪能する飲み方が合っています。
エールの中でも人気があるのは、インドペールエール(India Pale Ale、略してIPA)です。他にも、Bitter (Pale aleと呼ばれることも)、Mild、Abbey alesなど、エールにはいろんな種類があります。
・スタウト
スタウトは非常にクリーミーで風味があり、濃い色をしています。
地元の人たちは、いろいろ飲んだあとの最後の1杯に、スタウトを頼むのだそうです。
世界的に有名なスタウトとして、ギネスビールがあります。 ギネスは世界中で飲めますが、生産地アイルランドに近いものほどおいしいのだそうです。
ビール以外のおすすめパブのメニュー
・サイダー
ビールは苦手、という方におすすめなのがサイダーです。
イギリスのサイダーは、日本のサイダーとは全く違う飲み物で、リンゴを原料にしたアルコール飲料です。
けっこうアルコール度数は高いのですが、口当たりがよく飲みやすいです。
・ピムス
夏には、カットフルーツをたくさん浮かべたピムスというカクテルが人気です。
・コーヒー、紅茶、ソフトドリンク
パブといえばアルコールというイメージですが、コーヒー・紅茶も注文できることがあります。
レモネードや100%ジュースなどのソフトドリンクが置いてあることも。カウンターで聞いてみてください。
・フード
フードメニューを提供している店なら、フィッシュ&チップスやハンバーガーなども食べられます。
イギリスらしいお肉のロースト(ビーフ・チキン・ラム)を楽しみたい場合は、日曜日にパブに行ってみましょう。日曜のランチ時間に「サンデーロースト」を出していることがあります。
パブで使える、ちょっとした裏ワザ
・実は、無料で試飲できる
パブが忙しくないときなら、試飲もさせてもらえます。
「May I try this?」などと声をかけて、気になるタップを指差せば、グラスに少し入れてくれます。
・テイスティング・トレーで飲み比べ
パブによっては「テイスティング・トレー(Tasting Tray)」という、数種類のビールを比べ飲みできるメニューがある場合もあります。
テイスティング・トレーは、どのパブにもあるわけではないようですが、少しずついろいろな味が試せるのでおすすめです。
まずは、気軽に入れるパブのチェーン店に行ってみよう
いきなりローカル色の強いパブに入るのは勇気がいるので、まずは、フランチャイズチェーン店のパブに行って、注文に慣れておきましょう。
・ウェザースプーン(Weatherspoon)https://www.jdwetherspoon.com/pubs
大きめの町なら、たいていウェザースプーンの支店があります。
店名がお店ごとに違うのでわかりにくいですが、お店の名前の横に、小さくWeatherspoonと書いてあります。
朝早くから夜遅くまでやっていて、日本のファミレスのような感覚で利用できます。価格も安く、ファミリーにも人気があります。
パブを楽しむために、注意したいこと
・女性が1人で行くのは避けましょう。
・週末の夜やサッカーの試合がある日は、喧嘩がおこりやすいです。
・日本人は年齢より幼く見られることが多いので、年齢確認できるパスポートや国際学生証などを携帯してください。イギリスでの飲酒に関する年齢制限は、18歳以上となっています。
イギリスらしいパブで、思い出をつくろう
会話を楽しむためのパブには、ぜひ友達を誘って行きましょう。
語学学校のクラスメイトや、クラブ活動で知り合った人と一緒に行けば、
そこでゆっくり話したことや、笑い合ったことは一生の思い出になるかもしれません。
本当にもったいないです