中長期の海外滞在で一番怖いのが、
病気になることではないでしょうか。
今回私は、やや緊急性の高い状況となり
イギリスの休日診療所 Walk In Centre
を受診しました。
その際のイギリスの電話医療相談111や、
Walk In Centreとのやりとり、
イギリスの保健医療制度 NHSについて、
実際に体験したことを中心に、
なるべく詳しく書いてみました。
検査に3ヶ月待ち、
救急外来だと3時間待ち」
と酷評されがちな
NHSですが…
すばやく対応してくれたよね
電子機器の使いこなしに
びっくりしました!
オペレーターが通訳を手配してくれたり、
医師の指示をビデオ電話で受けられたり、
先進国の医療ってすごいなと感じました。
ただ、コロナ禍での対応(2020年11月)
なので、通常のやり方とは違っているかもしれません。
目次
まずは薬局へ
金曜日の昼から痛みはじめた左下腹部は、
土曜日には椅子にも座っていられないほどの激しい痛みになり、
同時に左腹部に帯状の発疹ができたので、
おそらく「帯状疱疹」だろうと予測がつきました。
医療の知識があります
しかし、本当に帯状疱疹だったら、
すぐに抗ウイルス薬を飲み始めなければいけません。
この薬を飲むのが遅くなると、
回復が遅れるばかりか、
一生後遺症が残る可能性があるのです。
病院に行くのも危ないし…
イギリスの新規感染者は2万5000人/日超え
死者は約500人/日という状況
迷いながら、日曜日まで様子を見ましたが
腹痛も湿疹もひどくなる一方なので、
パートナー氏に、
ダメ元で薬局に行ってもらいました。
……が、当然ながら、
抗ウイルス薬は
販売できないって
しかしその際、薬剤師の人は親切にも、
帯状疱疹の対処方法を
プリントアウトして渡してくれ、
「111に電話するといいよ」
と言ってくれたそうです。
医療アドバイスをもらうため、111に電話してみた
イギリスには、救急の電話サービスが主に2つあります。
999— 救急車を呼ぶための番号。事故や重体などの緊急時
111— 救急車を呼ぶほど緊急ではないが、医療アドバイスをもらいたい時
さて。
この日は日曜日なので、
普通の病院(GP)は休みでした。
待ってたら手遅れになるかも
Walk In Centreに行くのは
コロナが怖いし…
※Walk In Centreは、
予約しなくても診察してくれる病院
です。週末や休日も開いていて、
日本の救急外来のような存在です。
複雑な気持ちで、
もんもんと過ごしていましたが、
先ほどの薬剤師のアドバイスが
後押ししてくれたおかげで、
思い切って、111に電話をしてみることにしました。
できる気が全然しないけど…
111にかけると、まずは
音声ガイダンスにしたがって、番号を押していきます。
オペレーターに切り変わると、すぐに
・自分の電話番号
・郵便番号、住所
・名前
・生年月日
を聞かれました。
イギリスでの電話番号と住所を
手元に用意しておくと安心だよ
↑覚えてないと、いきなりテンパります
私は半年未満の短期滞在のため、
「NHSに未加入」なことも伝えました。
NHSに未加入の人でも
電話してもいいそうです
対応してくれた人は、単なるオペレーターというよりは、医師か看護師のような印象でした。
下腹部の痛みを伝えると、私にテキパキと質問してきました。
・妊娠しているか
・出産経験あるか
・生理中か、タンポンを使っているか
・吐き気はあるか
・日常生活に支障があるほどの痛みがあるか
・鎮痛剤を使っているか
・痛みは寝ていても起きるか
・アレルギーを持っているか
・熱はあるか
・痛む箇所は触ると熱いか
・排尿時に異変はあるか
・最近の排便の様子
など
しかも、
すぐに日本語の通訳を手配して
くれたんです!(感動)
通訳の手配をする間、
2〜3分保留にされて待ちました。
そのあと紹介された通訳さんは、
日本人の女性でした。
ここからの通話は、
オペレーター(英語で質問)
→通訳(日本語に変換)
→私(日本語で答える)
→通訳(英語に変換)
日本人通訳の方のおかげで、
ややこしい内容を日本語で受け答えできて
本当にほっとしました。
そして、
「日常生活をふつうに送れないほどの
痛みが続いていること、
トイレと食事以外は寝ているが、
寝ている間も痛みがつらいこと」
を伝えると、Walk In Centre
に予約を取ってくれることになりました。
こうなればもう、
コロナが怖いなんて
言っていられません
休日診療 Walk In Centre に行くことに
オペレーターの医師が、
そのまま病院の手配をしてくれました。
「マンチェスター中心部の病院でいいですか?」
と聞かれましたが、
コロナ感染の危険性を考えて、別の場所を希望しました。
昨日のコロナ死者数は
たしか24人…
「あなたの家に近い病院も
紹介できるけど、そこだと今ここで
予約までは取れないから、
病院から折り返し電話しても
いいですか?」
とのことで、もちろんOK。
コロナの影響で病院も忙しいはずなのに、
それでも患者の意思を尊重してもらえることに頭が下がりました。
10分ほどすると、救急病院の医師から
折り返しの電話がありました。
かと思ったのですが…
↑また英語の質問ぜめだよ
医師の最初の診察は、ビデオ電話
救急病院の医師の問診は、
先ほどのオペレーターからのよりも、
もうちょっと踏み込んだ内容でした。
「痛みを10点満点で表すとして、
今回の最大と最小の痛みは何点くらい?」
とか。
111のオペレーターと
かぶってなかったのがすごい
情報共有されてるんですね
患者の情報は、NHSの全ての病院で
共有されているそうです。
外科も内科も、全ての診療項目が
まとめられています。
患者の方からも、申請すれば、
一部の情報を見られるそうです。
電話の問診が続き、
ここでも私が英語を聞き取れずにいると、
ドクターはなんと
と、ビデオコールに切り替えてくれたんです!
医師からショートメッセージで
リンクが送信されてきて、
そのリンクをクリックすると、すぐに
ビデオコールに切り替わりました。
ZoomやSkypeなどの特別なアプリなどは不要でした。
画像はなめらかで、音声もクリアでした。
そして、ビデオがあるおかげで、
湿疹を見せることもできました。
ただ、実際に診察しないと
正確な判断はできないとのことで、
やはり、Walk In Centreへ
行くことになりました。
何でもしてくれるね
Walk In Centre は、さすがの厳戒態勢
予約したWalk In Centreは、
家から車で10分程度の場所にありました。
到着すると、まずドアのところで
警備員のチェックがあり、
入り口で看護師が、
タブレット端末を使って
予約確認を取ってくれました。
上手に使っててかっこいい
そのまま玄関横で
・耳穴での検温
・SpO2値測定
・脈拍測定
・味覚嗅覚の異常はないか
・その他コロナ症状はないか
などのチェックを受けました。
耳の穴で検温するんだ〜
↑イギリスの病院が初めてで、もの珍しい
看護師から
「バイタル値と受診目的」を書いた紙と
透明な検尿コップを渡され、
ようやく病院内に入りました。
フタまで透明だ〜
↑なんでも珍しがる人
※検尿後、このちょっと恥ずかしいコップ
を持ったまま、病院内を移動しました。
病院の受付が日本とちょっと違う
待合室の雰囲気は
それほど日本と変わらないのですが、
受付で、フルネームと生年月日を
聞かれるところが違いました。
人によっては住所も聞かれていました。
これらにきちんと答えることで、
本人確認を行っているのだそうです。
証明書を持ってなくても、
誰でも医療を受けられるって
すごいです!
↑受付にスクリーンが貼られ、
大きな声で話さないといけないので
待合室中に年齢がバレます。
100席ほどある待合室には、
5~6名の患者の姿しかなく、
混雑したところを予想していたので、
ちょっと安心しました。
とりあえず検尿をすませ、
20〜30分ほど待つと、
さきほど電話で問診してくれた女医が
呼びに来てくれました。
医者の仕事なんだね
診察はすごく速かった
診察はとても手早いものでした。
医者は、尿検査をしながら、
同時進行で問診も進めていきました。
妊娠検査薬も使っているようでした。
その後、サッと腹部の湿疹を見て、
「これは帯状疱疹ね」
とキッパリ診断。
驚いたことに、医師は
処方箋をその場でプリントアウトし、
すぐ手渡してくれました。
診察室でプリントアウトして
くれるのが普通らしいよ
診察が終わると、そのまま帰れました。
支払い、なしでした。
※本来はどこかで支払うはずなんですが、
(ビザ申請時とか、NHS加入時とか)
いろんな条件が重なって、今回は無料でした。
処方箋で薬を買うときに気をつけること
さっそく、病院の向かい側の薬局で、
処方してもらった薬を購入しました。
抗ウィルス薬のみの処方だったので、
鎮痛剤は自己申告で買いました。
買うシステムなんだね
痛み止めや胃薬など色々な薬を
処方されるのに慣れてるので、
そこは気をつけないとですね
ちなみに、
処方箋なしで買える鎮痛剤の中で、
一番効き目の強い薬は
Co-codamol だそうです。
この薬は依存性が高く、
「3日間しか使ってはいけない」
と薬剤師から言われました。
受診して本当によかった
111に電話したのが午後2時すぎ、
医師の診察が午後4時15分、
薬局を出たのが午後5時15分。
111に電話するのも、
コロナ禍の受診も不安だらけでしたが、
トライしてみてよかったです。
英語が母語ではない人の
対応に慣れてました
その後の体調は、薬を飲んだら、
すぐに快方に向かいはじめました。
NHSの関係者の皆様、
ありがとうございました。