(このブログは2020年9月23日に書いています)
ヨーロッパでは、コロナ感染者の多いスペインやフランスが目立っていますが、イギリスも実はかなり危ない状況です。
特に今週はコロナ関連の報道でざわついています。
2日前、英国政府の最高医療アドバイザーであるChris Whitty氏と、主任科学顧問であるPatrick Vallance氏が会見を行いました。
イギリスの苦しい現状を説明し、このまま手を打たなければ未来は暗い、というものでした。
そして、半ばそれを受ける形で昨日、ボリス・ジョンソン首相のTVスピーチがありました。
スピーチの内容は
「国民一丸となって、秋冬の厳しい時期を乗り越え、ワクチンが行き渡るまで耐えよう」
というものでしたが、実際のところ
「ルールと罰則を増やし、増え続ける感染者を少しでも抑えよう」
いうことになります。
このブログでは、日本ではあまり報道されないイギリスの様子をお伝えしようと思います。
ロックダウン中のイギリスの町で、どんなルールがあって何が禁止されているのか、
そんな中、人々がどんな風に過ごしているのか、
興味があれば読んでみてください。
コロナ第二波がいま来ているイギリス
[Each day shows new cases reported since the previous day · Updated less than 10 mins ago·Source:Wikipedia]
先週あたりから、感染者の数が増え続けているイギリス。
会見でも、英国政府の主任科学顧問のPatrick Vallance氏は、
「このまま何の手も打たなければ、10月中旬には、1日の新規感染者が50000人になるということもありうる」
と述べています。これは科学者としての意見ですので、信憑性があります。
しかもイギリスは、感染者数で言えば現在世界の14番目ですが、感染者の「致死率」は11.62%とかなり高くなっています(ウィキペディアによる)。
ちなみにアメリカの致死率は2.92%くらい。日本は1.89%です。
先日アメリカのコロナでの死者数が20万人を超えたことがニュースになりましたが、イギリスも4万人を超え、なかなか大変なことになっています。
実は、総人口に対するコロナでの死亡率は、アメリカもイギリスもどちらもほぼ同じなのです。
正確に言うなら、イギリスの方が若干高いくらいです。
コロナの死者数(203,446人)÷ 総人口(327,830,000人)× 100=0.0620
イギリス
コロナの死者数(41,825人)÷ 総人口(66,435,600人)× 100=0.0629
日本
コロナの死者数(1,508人)÷ 総人口(124,271,318人)× 100=0.0012
もしアメリカとイギリスと日本にそれぞれ10万人の町があったら、
アメリカとイギリスではそれぞれ62人、日本では1人亡くなっている、という比率です。
サービス業でも、マスクをしないでOKだった
昨日のボリス・ジョンソン首相の発表の後、規制が増えた内容はこんな感じです。
(※イギリスのパブは深夜帯が混み合う。特に週末は、深夜帯が1日の注文の40%を超えるというパブも多いとか)・密を避けるためカウンターでの注文ではなく、各テーブルで注文・会計すること
・サービス業従事者はマスクをすること
・違反者には200ポンド(27,000円くらい)の罰金が課せられる。違反を重ねるたびに金額は倍に増えていく
マスクへの反発は個人差が大きく、着けない人は本当に着けません。
警察に見つかれば違反金を課せられることが分かっていても、今日もショップ店員のマスクを着けていない姿が報道されています。
マンチェスターでは、先日、大きな蛇を顔に巻きつけてバスに乗った乗客がいて、「マスクの定義とは」みたいな話になっていました。
ほとんどの日本人が抵抗なく受け入れているマスク着用ルールが、こんなにがんばっても浸透しないなんて。
本当に不思議な気持ちになります。
さらに一部では、PCRテストを受けて「コロナ陽性」と判定されても、それを信じない人もいるみたいです。テストが正確ではないから、ということらしいですが…。
そのため、「コロナ陽性反応が出たあとに外出した場合は、罰金」という規定まであります。
もし日本だったら、社会的制裁を受けて一生立ち直れないかもだよ…
マンチェスターの地方ロックダウンとは
今私が住んでいるマンチェスターの地方ロックダウンは、こんな感じです。
・基本的に、家の中では同居している家族や同居人としか会えない。友達や親戚が来るのはダメ。
ただし、例外はいくつかあって、引っ越しとか、出産の立ち会いとか、死にそうな人のお見舞いとかは、外部からの面会が可能。限定されたメンバー1人(サポートバブルという規定がある)の面会も例外となる
・屋外であっても、自分の家の庭で、家族以外の部外者と会ってはダメ
・町で、ナイトクラブ、ダンスホール、性風俗店などは営業できない
・違反すると100ポンドの罰金。2週間以内に払えば50ポンドに減額。再犯なら200ポンドに増え、以降捕まるごとに倍々に増えていく
その他、カーシェアリングする場合のルールとか、スポーツの人数とか、結婚式とかお葬式とか、教会とかモスクとか、細かな条件とルールがありますが、基本的には「社会活動をできるだけ控える」ということになっています。
このようなロックダウン規制が「ゆるい」という見方もあれば、
「自粛期間が長くなりすぎだし、政府のルールも変わりすぎる。もうどんなルールを作っても、誰も政府の声を聞かないと思う」という人もいます。
社会活動を制限するよう要求しながら、レストランの飲食半額キャンペーンは後押ししたり…。
政府内にいろいろ矛盾ともみられる動きがあって、批判されまくりなのは確かです
経済活動とコロナ抑制の両面のコントロールのため、政府はコロコロとルールを変え、
国民がそれに翻弄されているといった印象です。
マンチェスターの教育現場に広がるコロナ
そんなマンチェスターでも、9月から学校が始まりました。
学校が始まってまだ3週間程度ですが、すでにグレーター・マンチェスターの中で、小中高合わせて200校から感染者が出ているそうです。
グレーター・マンチェスターの人口は約260万人ですから、大阪市(275万人)くらいとしてイメージしてもらえたらいいと思います。ちなみに、面積的には大阪市の5倍以上あります。
日本だと、大阪市内の200校から感染者が出たらパニックになりそうですが、
マンチェスターでは今のところ、おおむねなんとか授業を継続しているようです。
もちろん、一部に休校になったところもあります。
さらに状況が悪化した場合のシナリオ
グレーター・マンチェスターの中でも、ボルトンというエリアは状況がひどいらしく、他の地域よりも一段きびしいロックダウンが課せられています。
ボルトンのレストランは持ち帰りしか利用できませんし、パブもそうです。家での面会もさらに制限されています。
ボリス・ジョンソン首相は、
今回の全国の規制でも効果がみられずに感染者が拡大しつづけるなら、
「規制をさらに進める予定」だと公表しています。
それが、全国規模のロックダウンになるのか、ボルトンのように一部地域のルールを見直すことになるのか分かりません。
しかし、すでに人々はロックダウンの用意を始めています。
スーパーマーケットのパニック買いがまた始まり、食品などの配達サービスの予約が埋まり、美容院やネイルサロンにお客さんが集まっています。
↑今日のスーパーマーケットのトイレットペーパー売り場は、ほぼ空っぽだったそうです。(写真はパートナー氏提供)
来週から始まる語学学校は、トラム(路面電車)通学になるので、ちょっと不安です
今後もバタバタしそうです。
学校が始まったら、どんな感じだったか書きますね。それではまた。